2025.08.20ブログ:Yoshiizumiの部屋
焦るとIQが下がる?──それ、脳の仕様です。
「焦っちゃって、頭が真っ白になった」
「普段はもっとできるのに、プレッシャーかかると何も浮かばない」
現場でも、会議でも、家庭でも──
こんな経験、ありませんか?
実はこれ、あなたの能力が足りないからではありません。
むしろ、ちゃんと“働く頭”を持っているからこそ起きている、脳のメカニズムなんです。
シカゴ大学の教授が証明してくれました
この話の出どころは、シカゴ大学のシアン・ベイロック教授の研究。
彼女は「人はプレッシャーを受けると、一時的にIQが下がる」ことを科学的に実証しました。
頭の中の“作業スペース”=ワーキングメモリは、思考や判断に必要な一時保存領域のようなもの。
普段は、ここに情報を置いたり動かしたりして、いろんなタスクをこなしています。
ところが、焦りや不安が強くなると──
この作業スペースが、**「やばいどうしよう」「失敗したらどうしよう」**で埋まってしまう。
その結果、思考の処理能力がダウン。
「IQが落ちたように見える」のは、そのせいなんです。
知的な人ほど、焦りに弱い?
これ、ちょっと意外ですよね。
でもベイロック教授の研究では、
ワーキングメモリが豊かな人=知的能力の高い人ほど、プレッシャーでパフォーマンスが下がりやすい傾向があるとされています。
頭の回転が速い人ほど、普段は自分の知力をフル活用しています。
でも、焦りによって“いつもの処理領域”が不安で圧迫されると、その力が封じられてしまう。
だからこそ、**「本番で力が出せない」**は、よくある現象なんです。
もう一人のキーパーソン──“ムライナタン教授”
そしてもう一人、よく引用されるのがセンディル・ムライナタン教授(現シカゴ大学)。
彼は「Scarcity(スカシティ)=欠乏」の研究者で、お金・時間・余裕がないと、人はIQが13ポイント低下すると実証しています。
つまり、「焦り」だけじゃなく、「貧困・忙しさ・切羽詰まり」も、脳の余裕を奪ってしまう。
これ、介護現場にも深く刺さる話です。
じゃあ、どうすればいい?
焦ったとき、ムリに「落ち着こう」と思っても、うまくいかないこともあります。
そんなときに試してみたいのは、
こんな方法:
-
「あ、今ワーキングメモリ圧迫されてるな」と気づくだけでも効果的
-
紙に不安を書き出す(ジャーナリング)と、脳の容量が空く
-
一度意図的に「行動」する(席を立つ、深呼吸する、他の作業に切り替える)
大切なのは、「焦った自分=ダメな自分」じゃないということ。
焦るのは、むしろちゃんと考えようとしてる証拠。
そして、その“混乱する脳”とうまく付き合うことが、次の一歩になるんです。
最後にひとこと
焦りは、戦うべき“敵”ではなく、
「あなたの頭がフル稼働してるよ」というサインかもしれません。
焦ってる時ほど、自分を責めるのではなく、
「よしよし、今ちょっと脳が混んでるな」と声をかけてあげましょう。
頭がまわらなくなるのは、あなたが弱いからではない。
それは、あなたが一生懸命だからです。
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