2025.07.16ブログ:Yoshiizumiの部屋
はじまりは、「問い」だった
「どうしてこのチームは、こんなに空気がバラバラなんだろう?」
「なぜ、誰かが疲弊すると、周囲も巻き込まれて崩れていくんだろう?」
そんな問いが、職場での日常から立ち上がってきたとき
── わたしたちは、単に「技術」や「制度」の問題ではなく、 もっと根っこにある“文化”の問題に気づかされます。
本書『ロックマウンテン理論──バラバラな職場が、文化になるまで』は、
一見バラバラに見えるチームが、 どのようにして“文化”という共通基盤を育んでいくのか
── そのプロセスを「砂→水→川→岩→山」という五つの比喩で描き出した、 実践と哲学のあいだをつなぐ1冊です。
「問い」が文化を耕す
本書のキーワードは、“問い”です。
「何が起きたか」「なぜ起きたか」だけでなく、 「わたしたちは、どうありたいか?」という、 未来をつくる問い。
それは、責めるのでもなく、評価するのでもなく、 ただ静かに「次に進む」ための灯火のようなものです。
砂漠のようにバラバラだったチームが、 水のような関係性を通じてつながり、
川のように流れとなって意思がめぐり、 やがて、岩のような土台となり、 山のような文化に育っていく。
その変容の過程を支えるのが、「問い」なのです。
「砂→山」のプロセスとは?
それぞれのステージには、こんな特徴があります。
- 砂:バラバラな個。信頼も連携も薄く、成果が属人的。
- 水:関係性がゆるやかに生まれ、安心感が育つ。
- 川:意思疎通が活発になり、目的が共有される。
- 岩:共通の土台ができ、行動指針が根づく。
- 山:文化として定着し、次世代へ継承される。
この比喩はあくまで象徴的なものですが、 現場で感じる「空気の変化」「人の変容」を視覚化するヒントになります。
特に、人が入れ替わっても“文化が残る”状態をどう築くか── それは、現代の職場にとって最大の課題であり、希望でもあるのです。
チームづくりに必要なもの
では、どうすれば文化を育てることができるのでしょうか?
それは「仕組み」や「研修」よりも、 もっと日常的な“問いかけ”と“まなざし”にあります。
・誰かの小さな気づきを、言葉にして伝えること
・違和感やひっかかりを、安心して話せる土壌をつくること
・「なぜ、それを選んだのか?」という背景を聴くこと
こうした実践の積み重ねが、やがて文化となり、 その職場にしかない“らしさ”を育てていきます。
現場で問いを活かすために
『ロックマウンテン理論』には、ただ読むだけでなく、
実際のチームづくりに役立てていただくための 問いリストやワーク例も収録しています。
・「この1週間で、感情が動いた瞬間は?」
・「最近、誰かに影響を受けたことは?」
・「自分の言葉で語れたこと、語れなかったことは?」
こうした問いをチームで共有するだけでも、 日常の会話が変わりはじめます。
まとめ──文化は、問いから生まれる
この本は、「答え」を示すものではありません。
むしろ、問いとともに歩く人のために── 「文化は、こうやって育つのかもしれない」という 手がかりを手渡すための本です。
何もなかった砂のようなチームが、 やがて山のような存在感と安定感を持つようになる。
それは、誰かの声が響き合い、 問いが交差し、意思が育つプロセスです。
本書が、その最初の一歩として、 あなたとあなたのチームの歩みに寄り添えたら幸いです。

著者情報・関連リンク
吉泉 晶 著 『ロックマウンテン理論──バラバラな職場が、文化になるまで』
Kindle版: https://www.amazon.co.jp/dp/B0FH6P4YQ8
SUZURIグッズ: https://suzuri.jp/Akira602/products
note記事:「
『問いこドリル vol.1 ──“個”から始めよう』自分の「輪郭」を、問いなおす。」:
https://note.com/akira561443/n/n7c71247fa5dc
