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2025.04.16ブログ:Yoshiizumiの部屋

ダス・マンからは距離をとれ

「誰か」って、いったい誰のこと?

「ねぇ、それって“みんな”が言ってるの?」
何かに迷ったとき、誰かに相談したとき、「みんながそう言ってるよ」と返されることがある。
けれど、ちょっと立ち止まって考えてみよう。

その“みんな”って、具体的に誰?

それが、マルティン・ハイデガーの言う「ダス・マン(das Man)」というやつだ。
ドイツ語で「人は〜する」とか「世間では〜とされている」といった、あの“漠然とした誰か”のこと。
つまり、「世間の常識」や「普通こうだよね」という空気を、無批判に飲み込ませてくるもの。

厄介なのは、ダス・マンの声が、たいてい優しさを装ってやってくるということだ。

ダス・マンの正体

ダス・マンとは何者か?

それは、「他人の目」を内面化した自分自身とも言える。
「こうあるべき」
「普通は」
「みんながやってるから」といった言葉の裏には、

「そうしないと、はみ出し者になるぞ」
「嫌われるぞ」
「変だと思われるぞ」という無言の圧力がある。

たとえば、こんな場面に心当たりはないだろうか。

  • 就職するとき、やりたいことより“安定”を選ぶ

  • 子どもを育てるとき、“世間の目”を気にして叱る

  • 本当は違和感があるのに、空気を壊したくなくて笑ってしまう

その選択、本当に自分の意思だった?
もしかして、“誰か”があなたの中に住み着いていなかった?

感染する日常

ダス・マンは、どこにでもいる。

職場にも、家庭にも、SNSにも。
何より恐ろしいのは、この“誰か”は目に見えず、音もなく、じわじわと感染してくるということだ。

それはウイルスのように広がる。
たとえば、ある職場にひとり「自分の意見を持たず、波風立てないことを第一にする人」がいたとする。
すると、周囲の人も少しずつ発言を控え、「まあ、そういうものか」と諦めるようになっていく。
やがて、その空間全体が“何も言わないことが正解”という空気に包まれる。

そして最後には、「ああ、ここではこうなんだ」と誰もが思い込むようになる。

誰も命じていないのに、誰かが支配している。
それがダス・マンだ。

吉泉流:距離をとるための3つのステップ

では、どうすればこのダス・マンに感染せず、自分自身でいられるのか。
吉泉流の対処法を3つにまとめてみた。

① 違和感を見逃さない

「なんとなく、モヤっとする」
この“なんとなく”が、実はかなり大事。
人は、言葉にならない違和感を無視しがちだ。けれど、それは内なる声が発しているSOSかもしれない。

違和感が湧いたら、それをスルーせずに一度立ち止まろう。
「あれ?いま、誰の声で選んだ?」と自分に問いかけてみる。

② “私”の言葉を取り戻す

ダス・マンに侵されると、自分の言葉が出てこなくなる。
つい、「とりあえず」「まあ」「普通は」といった、“中身のない言葉”でごまかしがちだ。

そんなときは、意識的に「私はどう思うか?」を言葉にしてみることが大切だ。
「私はこう感じた」
「私はこうしたい」
主語を“私”に戻すだけで、世界は少しクリアになる。

③ 一緒に風通しをつくる仲間を持つ

ダス・マンの空気は閉じている。
だからこそ、風通しのいい場所を意識的につくることが必要だ。

本音を言っても否定されない。
違和感を大事にできる。
「それ、変わってて面白いね」と言ってくれる人がいる。

そんな空間は、ひとりではつくれない。だからこそ、“風通しの仲間”を持つことが、最大の予防策になる。

あなたの中の“本当の声”を信じていい

わたしはかつて、ダス・マンにどっぷりと浸かっていた。
「みんながやってるから」「変な目で見られたくないから」と、心を閉じて、言葉を飲み込んでいた。

けれどある日、自分の中の「ほんとうはこうしたい」「なんか、違う気がする」という声に、耳をすましてみた。
その声は最初、とてもか細くて頼りなかったけれど、それでも少しずつ育てていくうちに、自分の“輪郭”が戻ってきた気がした。

それは、たぶんあなたの中にもある声。
ちょっと恥ずかしくて、世間から浮いて見えるかもしれないけれど、
それでも確かに“あなた”の声だ。

おわりに:「誰か」ではなく、「あなた」と生きたい

「人は〜する」じゃなくて、「私は〜したい」
「普通は〜」じゃなくて、「あなたはどう思う?」

この問いを持ち続けることが、ダス・マンから距離をとるための第一歩だ。
誰かの目ではなく、自分のまなざしで世界を見よう。
あなたの輪郭を、あなただけの言葉で描いていこう。

わたしは、そんな“あなた”と、生きていきたい。

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