先日、服薬確認のためにあるご利用者様のお部屋を訪ねたときのこと。
いつものように薬のチェックをしながら、ふとした流れで昔話に花が咲きました。

「うちね、ほんとは“亀子”って名前になるはずだったのよ〜！」
そんな思いがけない告白に、思わずこちらも手が止まりました。

聞けば、その方はなんと12人兄妹！男6人、女6人という大所帯。
「男の子にはね、ちゃんと考えて名前つけてたのよ。女の子はねぇ…」と笑いながら、
「上から松子、竹子、梅子って、“松竹梅”！次はね、“鶴亀”で鶴子まできて、
私が5番目で…ほんとは“亀子”になる予定だったのよ」

「でもね、近所の人が“そんな名前はかわいそうだ”って言ってくれて。
赤ん坊だった私はずっと静かだったから、“静子”って名前になったのよ。助かったわ〜、ほんとに！」

そう語るその方の笑顔がまた、とてもチャーミングで。
戦後のにぎやかな暮らしの中でたくましく育ち、いまはこはるで穏やかな日々を過ごす――
そのギャップもまた、味わい深い一幕でした。

こはるでは、そんな「笑えるような」「懐かしいような」心あたたまる時間が、毎日のように流れています。
誰かに話したくなる、そんなエピソードがここにはたくさんあるのです。

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