2020.01.16小規模多機能型居宅介護事務所 ひまわり
ひまわりの物語
小規模多機能型というと、
いまだに、
「デイサービス」と「ヘルパー」と「ショートステイ」が利用できるサービス。
または、「使い放題」
と説明されることが多いのですが、そうではありません。
一度体験してみてはいかがでしょうか?
本日は、
入院し在宅へ戻る際にしばらく泊りを利用しながら
「在宅へ向けて」をかなえた方をご紹介いたします。
「廃用症候群になってしまう危険、そして活動量を増やし生きている実感を共に・・・・」
共同生活から介護される側へ
40年間共同生活を送る中で、転倒し外傷性くも膜下出血を発症、
共同生活が困難になっているN様、80歳。
くも膜下出血の後遺症と筋力低下のため、ふらつきと身体の傾きがあり、立位保持困難、歩行困難となっていました。
住んでいた所で、お世話をする方の不足から、
退院後、ベッド上で過ごす事が多くなり、
自身でも身体を動こうとすることがほとんどないため、
このままだと廃用症候群となり命の危険性が出てきていました。
また、
認知症の症状もあり、主治医からはアルツハイマー型認知症と診断を受けます。
共同生活を送る場での介護を受けながらの生活は、
N様にとっては住み慣れた場所ではありますが、
介護を受けながらとなると、環境が整っていなく共同生活を続ける事は大変困難な問題となっていました。
転倒予防と共同生活を継続するために・・・
共同生活をする場所で過ごす時は、
N様にとっては安心して生活できる所でもありますが、
認知症の症状と、くも膜下出血の後遺症のため、言葉、声掛け内容の理解が出来ているかどうかが、
お世話する方も不安で、ベッド上で過ごす事が安心だと思ってしまい、活動力が減っていくばかりでした。
また、関わりが減ってしまうことで余計意欲が低下してしまい、自発的な言動も見られなくなっていました。
それでも、このままにしておくことはできないとの思いから、地域密着型の小規模多機能を利用する事になりました。
共同生活をしている時から、
地域の方との交流や地域のための活動をしていたN様にとって、
小規模多機能は利用しやすく、また受け入れやすいのではないとの思いから、
小規模多機能に通う事を中心に、訪問と週末は泊まるというサービス内容でスタートしました。
通いを利用されている時間は、
職員の目も行き届くため、起きている時間を増やし、
腕や足を動かす体操を行ったり、歩行訓練(手引きによる)をすることで、筋力を付けトイレまで歩いて行ける様にと目標を立てました。
転倒の危険性の回避と意欲向上のための目標です。
目標があることで、介護する側の共通認識と、N様にとっての意欲をさらに引き出そうとしました。
また、
排泄の間隔を把握すると共に、気付くこと、N様からの訴えや欲求が出る様に促す努力も介護を提供する、生きる事を支援する事だと考えています。
訪問時には、生活環境を整えたり、
共同生活のスタッフに介護の仕方を教える事や、N様の生活歴や好きな物などの話を聞くことができ、
アセスメントにもなり今後のサービスに行かせるように努めています。
小規模多機能を利用する利点には、一つの事業所で通う事、訪問してくれる事、
そして泊まれる事のサービスを提供する職員が事業所が同じという利点があります。
顔なじみの職員がいる事の安心感で、介護される側の気持ちを和らげる効果と
N様の生活の流れを把握でき、常に状況変化の対応も瞬時に行えます。
「試行錯誤することで・・・」
現在のN様は、定期的な訪問と通い、そして週末には小規模に泊まるという
サービスを利用することで、一日の流れ、一週間の流れを規則正しく過ごす事ができ、
生活リズムが出来る事で穏やかになってきています。
小規模多機能を利用する他の利用者様とも顔なじみになったおかげで、
友人も増え笑顔も多くなり、座る時間が増えた事で、身体の傾きが少しづつ改善されています。
歩く練習やテレビの歌番組をみながら楽しく過ごしています。
声掛けの内容に対しての理解力の低下はありますが、
職員が一緒に身体に手を添え、手すりやひじ掛けに誘導する事で「わかりました。」と返答が帰ってきます。
活動力が増え、適切な介護支援を受ける事で、N様の意欲も出て来て自分から行動する姿も見られています。
自身の病気や現状を受け入れつつ、出来る事を増やす事で、
新しい目標を職員と一緒に見つけながら過ごし、これからも、支援させて頂きたいです。