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2026.02.06ブログ:Yoshiizumiの部屋

自分を重視するという錯覚

「つまらない人間ほど、自分を重視するものである」──この言葉は、
アメリカの社会哲学者エリック・ホッファーによって放たれた、鋭い観察の一例である。

彼は『現代という時代の気質』の中で、群衆心理や自己欺瞞、イデオロギーの危うさを洞察した思想家だ。
ホッファーの言葉は、表面的には厳しい批判のように聞こえるが、その本質は私たちの心の深層に突き刺さる。

ここでいう「つまらない」とは、知識や経験の少なさを意味するのではない。
むしろ、自分を過剰に特別視し、他者への関心や共感を失った状態を指す。
つまり、他人の存在を軽んじることで、自分の存在感を過大に演出しようとする態度そのものだ。

自意識の暴走がもたらす孤独

自分を重視することが常に悪いわけではない。
自己肯定感を持ち、自分の価値を認めることは、健全な生き方には不可欠だ。
しかし問題は、「他者と関係を結ぶ中での自己」を見失い、「自己の内側だけで完結した特別感」に耽溺する時に起こる。

こうした自意識の過剰は、やがて孤独を招く。
なぜなら、自分の価値や考え方を絶対視する人は、他人の声を聞こうとしなくなるからだ。
対話は減り、関係性は一方通行になる。そしてその孤独感を埋めるために、さらに自分を重視し、承認欲求に依存していく。

 

SNS社会は、この傾向をより強くする装置にもなり得る。
フォロワー数や「いいね」の数が自己価値の指標になりやすく、つい“見られる自分”にばかり意識が向く。
だが、どれほど注目を集めても、他者との実質的な関係性が希薄であれば、それは空虚な承認でしかない。

本当に面白い人は、他者に興味を持つ

エリック・ホッファーの視点に立てば、「つまらない人」とは「自己中心的な人」と言い換えることもできる。
逆に言えば、「面白い人」とは、他者に関心を持ち、社会や世界の多様性に目を向ける人だ。

人と話すとき、その人の物語を聞こうとする姿勢。異なる意見に対して、理解しようとする柔軟さ。
自分と違う価値観に出会ったときの、知的好奇心と敬意。こうした態度がある人は、
周囲とのつながりを深めるだけでなく、結果として自分自身も豊かになっていく。

自己肯定と自己陶酔は似て非なるものだ。
前者は内省と成長に通じ、後者は自己閉鎖と排他性に傾く。自分を磨きたいなら、まず「他者に興味を持つ」こと。
それこそが、つまらなさから脱する第一歩である。

成熟した自己認識を持つということ

ホッファーの指摘は、自己認識の成熟を促すメッセージでもある。
人間は誰しも、自分に対する執着や評価の欲望を持っている。
しかし、それを無批判に肥大化させると、傲慢さや虚栄に繋がる。
だからこそ、時に「自分など取るに足らぬ存在かもしれない」と疑ってみることが、自分を高める契機となる。

 

成熟した人は、自分の強みも弱みも受け入れた上で、「私は世界の一部であり、全体ではない」と理解している。
そしてその立ち位置から、他者と調和を図り、自分の役割を探そうとする。

自分を捨てる勇気が、自分を創る

「つまらない人間ほど、自分を重視する」という言葉は、
皮肉に満ちたようでいて、実は深い愛情と成長への願いが込められている。
自分を手放す勇気。他人の言葉に耳を傾ける謙虚さ。それらは決して自己否定ではない。
むしろ、その先にある新しい自分との出会いへの入り口だ。

世界を知ることは、自分を知ること。
自分を知るとは、他人との関係性の中で、自分という存在を相対化することでもある。
その視点を持てたとき、人は「つまらなさ」から脱し、奥行きある人生へと足を踏み出すことができるのだ。

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