2025.12.05デイホーム ももか
「はじめまして」がくれた、忘れられない優しさ
C様は、当初は週に一度、デイホームももかに通われていました。
静かで落ち着いた雰囲気を持ち、人と関わることが決して苦手というわけではないものの、
初対面の方と話す時には、少し人見知りされるご様子が見られました。
ある日、「週にもう1回、来てみようかな。いろんな人ともっと話してみたい」と、
ご本人から前向きなお気持ちが聞かれました。
スタッフ一同、嬉しく思い、新たな曜日でのご利用が始まることに。
しかし――その初日、C様はお休みとなりました。
初めての曜日、初めての顔ぶれ。
「行ってみたい気持ちはあるけれど、なんだか緊張してしまって……」
後日、C様はそう話されました。
きっと新しい一歩を踏み出すことに、不安があったのでしょう。
それでも、その次の機会には思い切って参加されました。
不安そうに会場の様子をうかがうC様。
周囲には、C様にとって初対面の方々も多く、言葉を探しているような表情をされていました。
そのとき――ある利用者様が、笑顔でC様のそばにやってきました。
「はじめまして!お名前、教えてくださいな」
少し戸惑いながらも名乗るC様に対して、
「C様っていうのね。私、忘れないようにしなくちゃ」と明るく声をかけてくださいました。
そのやさしくて自然な言葉に、C様の表情がふっとゆるみました。
そして数日後。
C様が再びその曜日にももかに到着された朝――
玄関で迎えてくれたのは、あの時話しかけてくれたその利用者様でした。
「Cさん、おはよう!」
そう、まっすぐに名前を呼びかけてくださったのです。
ほんの短いやり取りかもしれません。
けれど、C様にとっては“忘れずにいてくれた”ということが、どれほど大きな安心と喜びになったことでしょうか。
あの日から、C様の中で少しずつ変化が生まれています。
以前よりも多くの方に声をかけられるようになり、時にはご自分から話題を振る場面も見られるようになりました。
“人と関わることが嬉しい”と感じられるきっかけは、大げさな出来事ではありません。
ほんのひとこと、名前を呼んでもらえること。
それだけで心はふわっとほどけていくのです。
ももかには、そうした“さりげない優しさ”があふれています。
誰かが緊張しているとき、勇気を出そうとしているとき、
その手を取ってくれる誰かが、きっとそばにいます。

