2025.11.11ブログ:Yoshiizumiの部屋
方法論の前に、「なぜそれをやるのか」
私たちは日々、無数の選択と判断にさらされています。
業務改善、プロジェクト推進、会議の設計、人材育成……それらすべてにおいて、つい“やり方”ばかりに目を奪われがちです。
けれど本当に大切なのは、「なぜやるのか」「何のためにそれをするのか」という“目的の明確化”ではないでしょうか。
手段はあくまで道具であり、目的を持たない方法論は、やがて形骸化し、現場の熱を冷ましてしまいます。
どんなにスマートなフレームワークも、使う「理由」が言語化されていなければ、それはただの流行です。
私たちは、手段を問う前に、まず“意図”に向き合うことから始めます。
理由を先に考えると、迷いが消える
手順をなぞる前に「なぜやるのか」を掘り下げると、驚くほど判断の迷いがなくなります。
たとえば「報告書を週次で出す」のが形式化している組織において、
その報告書は何のためにあるのか? 誰の意思決定を助けるのか?
そう問うだけで、内容・頻度・フォーマットすら見直すきっかけが生まれます。
“目的が先”という姿勢は、単なる合理性ではなく「納得の連鎖」を生みます。
現場の納得がなければ、施策は浸透しません。
手段に振り回されるのではなく、理由に立脚することで、組織は一つの方向を向き始めます。
「なぜやるか」が行動の質を変える
たとえば同じKPIを追うにしても、目的が「数字の達成」のためだけなら、達成した瞬間にモチベーションは消えます。
けれど、「顧客の課題を根本から解決する」ことが本質的な目的であれば、KPIはあくまで通過点となります。
目的が明確であるほど、現場の行動はブレません。
指示を待たずとも、判断ができる。
一人ひとりが自律的に動けるチームは、やり方に頼らずとも強くなっていきます。
形式をなぞるのではなく、意図に立ち返ること。
それが、組織の“考える力”を鍛えていきます。
手段は常に変化する
時代は変わり、技術は進化し、ビジネスモデルも生まれ変わります。
昨日の正解が、今日には通用しない――そのスピード感は年々増しています。
だからこそ、方法論に執着しすぎるのは危険です。
「これがうちのやり方だから」という言葉に思考停止が潜むこともあります。
一方、「私たちは何を目指しているのか」「なぜ今これが必要なのか」が明確であれば、
手段はいつでも柔軟に選び直せます。
目的は“舵”、手段は“オール”。
進むべき方向がわかっていれば、道具が変わっても、組織は迷いません。
「先に理由を問う」文化を組織に根づかせる
これは個人の習慣だけでなく、組織文化にも深く関わるテーマです。
会議で何かを提案されたとき、「なぜこれをやるのか?」を自然に問い合える空気。
手段に対してではなく、目的に対して意見が集まるような会話。
そこには、遠慮でも否定でもない、建設的な対話が生まれます。
“理由を問う文化”は、責任感と信頼関係のあいだにあります。
誰かの意図に敬意を払い、自分の選択にも根拠を持つ。
その繰り返しが、静かに、しかし確実に組織の基盤を育てていきます。
まとめ:目的を見失わないという強さ
私たちは、「やり方」に関する情報に囲まれて生きています。
テンプレート、マニュアル、ツール、ノウハウ……それらは便利ですが、万能ではありません。
「何を、なぜ、どうしたいのか」
その問いを、面倒がらずに引き受けること。
本質を問う力を磨くこと。
それこそが、変化に強い組織と人をつくる鍵だと、私たちは確信しています。
理由がわかれば、行動はクリアになる。
目的が見えれば、ブレない軸が生まれる。
やり方は、そのあとから、いくらでもついてくるのです。

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