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2025.10.29ブログ:Yoshiizumiの部屋

怒鳴っている人をみたら「被害者なんだ」と理解しよう

怒鳴り声の奥にある「見えない叫び」

誰かが怒鳴っている場面に遭遇したとき、多くの人は本能的に「怖い」「苦手」「近寄りたくない」と感じます。
そして同時に、「あの人は乱暴な人だ」「感情をコントロールできない人だ」と、瞬時にラベルを貼ってしまいがちです。

しかし、怒鳴っているその人自身も、実は**“何かの被害を受けてきた存在”**である可能性が高いのです。

怒りは、決して最初から存在する感情ではありません。
多くの場合、それは“防衛反応”として発露されます。自分が無視された、不当に扱われた、
尊厳を傷つけられた、という積もり積もった傷や不安の表現なのです。

つまり、怒鳴っている人は「怒りの加害者」であると同時に、「感情の被害者」でもあるのです。

介護現場で出会った「怒りのかたち」

私は介護という現場の中で、数多くの「怒り」と向き合ってきました。
それは利用者さんの怒りであったり、ご家族の怒りであったり、ときにはスタッフ同士の衝突でもありました。

印象的だったのは、ある認知症の方がスタッフに対して毎日のように怒鳴っていたケースです。
一見すると、ただの“暴言を吐く高齢者”のように見えるかもしれません。
でも背景を探っていくと、その方はかつて教師として厳しく教壇に立ち、
晩年に家族との関係が悪化し、信頼できる居場所を失っていたのです。

怒鳴ることで、自分の存在を“誰かに認識してほしかった”。
その怒声は、**「私はここにいる」「無視しないで」**という、強烈なSOSだったのです。

怒りに対して「感情で返さない」技術

怒っている人に対して、こちらも感情的になると、火に油を注ぐ結果になりがちです。
介護経営でも、職員間の摩擦や、家族クレームへの対応など、怒りの応酬を冷静にさばくことが求められます。

そんなとき、心に留めておきたいのが「この人は今、何かに傷ついているのだ」と想像すること。
すると、怒りに巻き込まれず、一歩引いた視点で状況を俯瞰できるようになります。

人は、理解されたと感じたときに初めて、怒りの鎧を脱ぎ始めます。
「怒るな」ではなく、「怒ってしまうほど辛いんですね」と、怒りの背後にある“本音”に寄り添う視点が、
対人関係を劇的に変えてくれます。

感情の“出口”をつくる支援

怒りをため込み続けた人は、ある日突然、爆発します。
これは「我慢の限界が来た」というよりも、「出口が見つからなかった結果」なのです。

家庭でも、職場でも、地域でも、
「話してもいい」「本音を出しても大丈夫」という安全な空間があれば、怒りは爆発せずに済みます。

介護施設でも、利用者や家族が本音を語れる場を設けているかどうかで、クレーム件数が大きく変わります。
それはスタッフにも同じことで、「怒っている人を非難する」のではなく、
「怒りが出る前に安心して話せる環境」をつくることが、組織全体の健全性につながるのです。

怒鳴り声の裏側にある「物語」を想像しよう

怒りの感情は、決して無意味ではありません。それは過去の経験や、失われた何かの象徴です。

怒鳴る人は、かつて誰かに否定され、聞いてもらえず、理解されなかった人なのかもしれません。
だからこそ今、声を荒げてでも“気づいてほしい”という衝動に突き動かされているのです。

私たちは、怒鳴り声だけを聞いて「うるさい」「怖い」と判断してしまいがちです。
けれど、その裏側には必ず「物語」がある。
それを想像できる人は、他者への共感力だけでなく、自分自身の感情コントロールにも長けるようになります。

まとめ

怒鳴っている人を見かけたら、まずは深呼吸して「この人は何かの被害者かもしれない」と捉えてみましょう。
それだけで、相手の感情に飲み込まれることなく、冷静に状況を見ることができます。

怒りは“敵”ではなく、“未処理の感情”です。
理解しようとする姿勢こそが、関係性を良くする第一歩です。

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