2025.09.30ブログ:Yoshiizumiの部屋
愛情?
「愛情って、なんだろう?」
そんな問いがふと浮かぶ瞬間が、人生には何度かあります。
それは誰かとの関係がうまくいかないときかもしれませんし、逆に、やけに穏やかで満たされた日常のなかかもしれません。
愛情は、あって当たり前のように語られる一方で、目に見えない、触れられない、言葉にしにくい存在でもあります。
「ちゃんと伝わってる?」「これって愛情?」そんなモヤモヤを感じることもあるでしょう。
今回は、この曖昧で繊細なテーマ「愛情」について、少しだけ立ち止まって考えてみたいと思います。
介護や支援、家庭、友人関係……どんな場面でも関係してくる“感情の奥底”に触れる時間となれば幸いです。
愛情は行動?それとも感情?
「あなたのことを想ってる」
この言葉をどう受け取るかは、人によって全く異なります。
誰かを想っている気持ち——たとえば「心配」「応援」「共感」など——を、愛情と呼ぶ人もいます。
一方で、「ちゃんと声をかけてくれる」「無言でそばにいてくれる」など、具体的な行動こそが愛情だと感じる人も少なくありません。
つまり、愛情は“感情”であると同時に、“表現”でもあるのです。
どちらか一方では不完全。想っているだけでも伝わらず、行動していても気持ちがなければ、空々しく感じることもあるでしょう。
「気持ち」と「かたち」。
この両方を、できる範囲で重ねていく努力が、私たちにできる“愛情表現”の基本なのかもしれません。
優しさの裏にある期待
ときに、愛情の名のもとに行われることが、相手にとっては重荷になることもあります。
たとえば、「あなたのためにやってあげたのに」「こんなに心配してるのに」という言葉。
それは本当に、相手のためだったのでしょうか?
そこには、「期待に応えてほしい」「感謝されたい」といった無意識の欲求が潜んでいることもあります。
もちろん、人間ですから、見返りを求めたくなることもあります。
でも、もし愛情が「相手を思いやる気持ち」であるならば、それは“与えること”そのものに意味があるはず。
愛情は、自己満足と隣り合わせです。
だからこそ、ときどき立ち止まって、「これは本当に相手のため?」と問いかける習慣が必要なのです。
愛情は消えるのか
「昔はもっと優しかったのに」「前みたいに笑ってくれない」
関係が長くなると、愛情が薄れてしまったのでは?と感じる瞬間があります。
でも、それは本当に“愛情が消えた”のでしょうか。
もしかすると、それは**「慣れ」と「期待」が作る錯覚」かもしれません。
たとえば、最初の頃は「ありがとう」が頻繁に交わされていたのに、日常になると当たり前になり、言葉が減っていく。
でも、行動自体は変わっていなかったりします。
愛情は、常に同じ温度・かたちで存在するわけではありません。
目に見えなくなっても、そこに“ある”ことを信じる——
それもまた、大人の愛情のひとつの形なのかもしれません。
愛情は与えるもの、奪うもの?
愛情という言葉は美しく響きますが、使い方を間違えると「支配」や「依存」に変わってしまうこともあります。
「あなたのためにしてあげているのだから、あなたも私の言うことを聞いて当然」
——こうした考えは、愛情のようでいて、実は“奪う”形の関わり方です。
本来、愛情は「自由にする力」を持っているはずです。
相手の選択や気持ちを尊重し、必要なときだけそっと支える。
その距離感が、ほんとうにあたたかい愛情ではないでしょうか。
「自分の正しさ」を押しつけるのではなく、「あなたがどうしたいか」を問いかける。
そんな姿勢こそが、成熟した愛情のかたちなのです。
愛情の受け取り方にも癖がある
誰かが見せてくれる愛情に、うまく応えられないこともあります。
「ありがとう」と言いたいのに素直になれない。
「もっとこうしてほしい」と思っているのに言えない。
それは、自分が育ってきた環境や、過去の人間関係が関係していることもあります。
たとえば、「優しくされた経験が少ない」「信頼を裏切られたことがある」など、
受け取る側の“受信機”がうまく機能していないケースもあるのです。
愛情は“送り手”だけでなく、“受け手”にも練習が必要です。
素直に受け取る、ちゃんと感謝する、そして自分も返してみる——
それは不器用で、ぎこちないことかもしれませんが、少しずつ育てていくものだと思います。

まとめ
愛情とは、とても不思議なものです。
あっても気づかれず、なくてもあるように見えることもある。
言葉にしなければ伝わらないこともあるし、言葉がなくても通じ合うこともある。
その正体は、たぶん一つではなく、関係の数だけ、かたちがあるのでしょう。
大切なのは、「これが正しい愛情だ」と決めつけないこと。
そして、相手の愛情のかたちを、勝手にジャッジしないこと。
私たちは、誰もが「不器用な愛情表現者」です。
でも、その不器用さの中にこそ、深さや本物が潜んでいる気がしてなりません。
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