2025.08.06ブログ:Yoshiizumiの部屋
事実と解釈と感情は、ちゃんと分けて考えていますか?
「もう無理…なんでわかってくれないの…」
チームの誰かがそうつぶやいたとき、
“事実”は何だったのか、
“どう解釈”したのか、
“どんな感情”が湧いたのか。
──実はこれがごちゃ混ぜになると、職場の混乱は加速していきます。
今日のテーマは、現場でも日常でも超実用的な「感情・解釈・事実の仕分け力」。
ケアの現場だからこそ必要な、心の整え方について考えていきましょう。
1.「事実」とは、録画しても映ること。
まず、事実とは何か。
それは「録画しても映ること」「誰が見ても同じように確認できること」です。
たとえば──
「朝9時に出勤してきた」
「書類にサインがなかった」
「Aさんが声を荒げた」
これらはすべて“事実”です。
しかし多くの場合、私たちはこの“事実”に、自動的に解釈をかぶせてしまいます。
「遅刻ギリギリに来るなんてやる気がない」
「また確認ミス?雑なんだよ」
「怒鳴るなんて、もう信用できない」
でもそれって──**“事実”ではなく、“あなたの解釈”**なんです。
2.「解釈」とは、脳の自動翻訳。
解釈とは、起きた事実に対して、脳が勝手に意味づけをするプロセスです。
これは生き延びるための脳の機能でもありますが、職場では混乱の種にもなります。
たとえば、同じ「上司が無言で資料を見ていた」という事実に対して──
-
Aさん「怒ってる…たぶん私の説明が悪かったんだ」
-
Bさん「黙って集中してるだけだろうな」
-
Cさん「きっと体調悪いんじゃない?」
これ、全員“同じ事実”を見ているのに、“全然違う世界”にいますよね。
解釈は人の数だけある。そして、放っておくと**「正しさ合戦」**が始まってしまうのです。
3.「感情」は、解釈のあとにやってくる。
人は、事実に対して直接“感情”が湧くのではありません。
解釈をはさんだあとに、感情が出てくるのです。
「Aさんが声を荒げた」という事実。
それを「自分に怒っている」と解釈すれば、不安や恐怖が湧きます。
「今日は機嫌が悪いんだろう」と解釈すれば、気遣いや面倒くささが湧くかもしれない。
つまり、感情は“解釈”の子どものようなもの。
親を間違えると、感情も暴走するのです。
感情そのものを否定する必要はありませんが、
「これは私の解釈の結果、出てきた感情だな」と気づけることは、
冷静に次の行動を選ぶ力になります。
4. ごちゃ混ぜのまま伝えると、対話は壊れる。
ここが最も重要なポイントです。
事実・解釈・感情がごちゃ混ぜになった状態で会話すると、
ほぼ確実に対立や誤解が生まれます。
たとえば──
「なんであんな言い方するの?あれじゃ私をバカにしてるみたいじゃない!」
これは感情と解釈が暴走し、事実が埋もれてしまった例です。
「さっきの会議で、“そこは違う”と強い口調で言われた(事実)。
私は“否定された”と感じた(解釈)、ちょっと悔しかった(感情)」
こうやって分けて話せると、相手も防衛的にならず、
建設的な対話に戻る可能性が生まれます。
5. ケアの現場だからこそ、「分ける力」が必要。
福祉や介護の現場では、「人の気持ち」が重視されるぶん、
この“分ける力”がとても重要です。
「職員Aさんが冷たい言い方をした」
「その後、利用者さんが落ち込んでいた」
このような場面で、原因と感情が混線すると、対話も支援もずれてしまいます。
事実に戻ること、解釈に気づくこと、感情を自覚すること──
これは、ケアそのものを整える技術です。
「チームケアの質は、会話の質に宿る」のです。
まとめ:分ければ、見えてくる。
事実・解釈・感情。
これを分けて考えることは、単なるコミュニケーション術ではありません。
-
誰のせいか?ではなく、**何が起きたのか?**に立ち返る力
-
解釈と感情を整理し、感情に引きずられない判断をする力
-
チームの空気を守りながら、本当に必要な支援を見極める力
それらの土台になります。
感情的になることが悪いのではありません。
ただ、「いま自分は、何をどう受け取ったのか?」を分けてみることで、
次の一手がまるで違ってきます。

一人ひとりが、そうやって“自分の心を読み解く力”を持てたら──
きっと現場の空気も、もう少しだけやさしくなる気がしています。
📘さらに深く学びたい方へ
チームの再起動をテーマにした書籍『傷ついたチームが、もう一度立ち上がるとき』では、
現場で本当に起きている“心のすれ違い”をどう乗り越えていくかを綴っています。
「チームを変えるのは、特別な正解じゃなく、日々の言葉づかいだった」──
そんな気づきに出会える1冊です。
🛍 SUZURIで好評展開中!
「感情に正直な服、着てますか?」
SUZURIショップ『Akira602の哲学Tシャツ』では、
思わず“気持ちが整う言葉”をまとうTシャツや雑貨を販売中。
あなたの内なるラスカルに、そっと寄り添います。
