2025.07.22ブログ:Yoshiizumiの部屋
「“気にしすぎ”は、悪じゃない──トロントが教える“やさしさの連鎖”」
1. 「気にしすぎる自分」がつらいとき
職場で何気なくかわされた会話。すれ違いざまのあいさつがなかっただけで、ずっと心に引っかかる。
会議で発言したあとに誰もリアクションしないと、「変なこと言ったかな…」とぐるぐる考えてしまう──。
そんな「気にしすぎる自分」に、疲れてしまうことはありませんか?
実は、介護・福祉の現場で働く人には、**HSP(とても繊細な感受性を持つ人)**の傾向がある方も多いのです。
でも、その“気にする”ことは、ほんとうに「悪」なのでしょうか?
2. トロントのケア理論が教えてくれたこと
アメリカの政治学者・ジョアン・トロントは、「ケアとは何か?」を問い続けた研究者です。
彼女が提唱したのは、ケアには4つの段階があるという理論。
- caring about(気にかける)
- taking care of(責任を引き受ける)
- care-giving(実際のケア行為)
- care-receiving(ケアを受け取る)
ここで注目したいのは、一番最初に来ている「気にかける(caring about)」という段階。
そう、「気にすること」こそが、ケアのはじまりなのです。
つまり──気にしてしまう、というあなたの感受性は、ケアの力そのものなんです。
3. 気づきすぎるあなたが、現場の希望になる
ある日、利用者のちょっとした表情の変化に気づいて声をかけたら、発熱の前兆だった。そんな経験、ありませんか?
ある日、同僚の沈黙を見て「何かあったかな?」と感じたら、実は家庭で大変なことが起きていた──。
繊細な人は、他人の変化に気づく力が高い。これは、「気づかれないSOS」をキャッチできる才能です。
職場の空気がギスギスしているとき、最初に気づくのも、そういう人たちです。
トロントは言います。
ケアは個人の責任ではなく、社会的な責任。
あなたの「気づき」は、組織やチームが変わるきっかけになるんです。
4. でも、全部は背負わなくていい
大事なのは、「気づいたから全部やらなきゃ」と思い込まないこと。
トロントが言う4段階のケアは、一人で担うものではないのです。
たとえば、あなたが気づいた“サイン”を、誰かに伝える。
その人が「責任を引き受け」、また別の誰かが「実際のケア行為」を行う。
そして──最後には、「ありがとう」「助かったよ」という言葉を、あなたがしっかり受け取る。
そうやって、ケアはバトンのように、まわしていくもの。
🍋まとめ:やさしさは、連鎖する
“気にしすぎ”といわれたあなたのやさしさは、ケアの起点。 でも、それを全部一人で抱える必要はない。
気づいたら、そっとつぶやいて。 「なんか、気になるんだよね」と。
それはきっと、チームを変える最初の風になるから。
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