2025.07.18ブログ:Yoshiizumiの部屋
『口を開けば、他者のこと──“かばう”ことができない職場にしないために』
「口を開けば、他者のことばかり話す」──そんな言葉に、どきっとしたことはありませんか?
その言葉を聞いたとき、思わず背筋が伸びました。現場に立っていると、ときに耳にするのです。
「◯◯さんってさ、またやらかしてたよ」 「結局あの人、変わらないよね」
話している本人に悪気はないかもしれません。
でも、こんな風に“他者のこと”ばかり語られている職場では、何が起きるのでしょうか。
今回は、チームケアにおける「かばえなさ」の背景を探ります。
1. 「他者を語る」は、自己防衛かもしれない
人は、自分の内面をさらけ出すことに不安を感じるものです。特に、職場という“評価される場”では。
だからこそ、自分を語る代わりに、他者を語ってしまう。誰かを指さすことで、「自分はここにいます」と示しているのかもしれません。
でもその行為は、無意識のうちに“信頼の目減り”を生んでしまいます。
2. かばえない職場には、冷たさが宿る
ある出来事が起きたとき。
「誰が悪いのか」「あの人は前もやったよね」そんな声が飛び交う場では、誰もかばえなくなります。
下手にかばえば、今度は自分が矢面に立つことになるからです。
結果、ミスは個人の責任として処理され、問い直されることなく流れていく。
「育つ」より「責める」が先にくる。
そんな空気の中で、チームはじわじわと力を失っていきます。
3. 「わたし」を語る勇気が、場を耕す
もしもチームの誰かが、「あのとき自分も迷っていた」と語ったとしたら。
「実は、自信がなかった」とこぼしてくれたら。
その瞬間、場は少しやわらぎます。そして、“他者を語る空気”から、“自分を語る空気”へと移り変わっていくのです。
かばうとは、“嘘をつくこと”でも“正当化すること”でもありません。
「その人の背景に目を向ける視点を、場に差し出すこと」。
それが、チームで育つということなのではないでしょうか。
4. 「問い」で立ち止まる余白を
もし、誰かが他者を語り出したら。
そのときこそ、問いかけのチャンスです。
「それを言いたくなったのって、なぜだろう?」 「その出来事のなかで、自分はどう感じた?」
問いは、責めでも否定でもなく、“ただの余白”です。
誰かを責める前に、まず立ち止まる。
その一呼吸が、信頼のタネになるのです。
5. チームを耕す「かばう力」
「誰かをかばえない」というのは、個人の弱さではありません。
それは、場の構造の問題であり、文化の課題です。
だからこそ、チームで育てていくことができます。
“かばえる空気”は、
- 「問い」が許される場
- 「失敗」が振り返られる文化
- 「弱さ」が語れる人間関係
そんな土壌のうえに、すこしずつ育っていきます。
まとめ
「口を開けば、他者のことばかり話す」──そのとき、場はゆっくりと冷えていきます。
でも、そこに「問い」や「自分の語り」を差し出すことができれば、
チームには、かばい合う文化が生まれていきます。
“誰かのせい”にせず、“次、どうする?”と問い合える場へ。
それが、わたしたちが耕していく職場のかたちです。
📘関連書籍:
『ロックマウンテン理論──バラバラな職場が、文化になるまで』 https://www.amazon.co.jp/dp/B0FH6P4YQ8
✍️note記事も更新中:https://note.com/akira561443
📦SUZURIショップはこちら:
https://suzuri.jp/Akira602/products
