2025.07.10ブログ:Yoshiizumiの部屋
責めるより、そっと訊け。「で、次どうする?」
「誰がやった?」からはじまる沈黙
「……で、誰がやったの?」
その言葉が飛び出した瞬間、空気が止まる。
顔を見合わせるスタッフたち。視線を伏せる。黙り込む。呼吸さえも浅くなる。
こうした場面は、現場の温度を一気に下げてしまう。
たしかに、問題が起きれば原因は知りたい。
けれど、その問いが無言の圧力となって、次の一歩を奪ってしまうこともある。
「誰がやった?」という問いの裏にあるのは、責任の所在確認か、あるいは吊し上げか。
少なくとも“安心して話せる場”ではなくなる。
そして、一度生まれた「萎縮」は、伝達ミスや判断の遅れという新たなリスクを生む。
つまり、誰かを責めようとした結果、チーム全体が“黙る文化”に染まっていく。
「何が起きた?」で空気が変わる
もし、そこでこう尋ねたらどうだろう?
「……何が起きた?」
すると、一瞬ためらいながらも、誰かが語りはじめる。
「実はあのとき、○○が足りなくて……」 「気づいていたけど、声をかけられなくて……」
それは、ただの事実報告ではない。その人なりの葛藤や、迷い、そしてその場の“流れ”の共有だ。
「何が起きた?」という問いは、責任を分け合う言葉であり、未来への土台づくりでもある。
問いのトーンが「共に立て直す」という意思を伝え、信頼を再構築するきっかけとなる。
「次、どうする?」がチームを前に進める
原因がわかったなら、次は改善策。でも、「気をつけます」だけでは、また繰り返す。だからこそ、こう問う。
「で、次どうする?」
この問いのすごさは、“責任の追及”を終えて、“未来の創造”に移れるところにある。
言い換えれば、これは「未来を信じる問い」だ。
相手の中にある力を信じていなければ、こんな問いは出てこない。
「あなたなら、きっとやれる」と願っているからこそ、「次」を一緒に考えようとするのだ。
問いの「温度」で、場の風向きが変わる
問いには、温度がある。
冷たい問いは人を萎縮させ、温かい問いは人を開く。
「で、次どうする?」という問いは、その人の“これから”を見ている。
「今ここ」に閉じ込めるのではなく、「この先」へ視線を向けさせてくれる。
これは、リーダーにとっての“問いかけの武器”でもある。戦わずして動かす。
責めずに育てる。そういう組織文化は、たった一言の問いから始まる。
小さな「信頼」の積み重ね
失敗を責めないこと。それは、甘やかすことではない。
「なぜ、そうなったのか?」 「そこから何を学べるか?」 「どうすれば、もう一度挑戦できるか?」
そうやって、問いを重ねる。小さく、静かに、でも確かに、「ここならまた挑戦できる」と思えるような職場へ。
叱責ではなく、問いかけでチームを動かす。そうした積み重ねこそが、信頼という見えない土台を築いていく。
まとめ:未来をつくる問いかけを
問題が起きたとき、私たちが選べる問いがある。
「誰がやった?」と詰め寄るか。 「何が起きた?」「で、次どうする?」と一緒に考えるか。
答えを急がない。責任をなすりつけない。
“問いかけ”の温度が、そのまま職場の温度になる。
だからこそ、責めるより、そっと訊こう。 「で、次どうする?」
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