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2025.05.20ブログ:Yoshiizumiの部屋

『きみが「大丈夫?」って聞かれるたび、少しずつ壊れていった。』

──“相談できる社会”を超えて考えたいこと

その言葉、本当に届いていますか?

「子どもたちの幸福度が低い」
最近、そんなニュースをよく目にするようになりました。
“相談できる環境を整えることが大切”──そうしたコメントも、毎回のように添えられます。

けれど、わたしはふと立ち止まってしまいます。
本当にそれだけでいいんだろうか、と。

「相談してもいい」「声をあげても大丈夫」
たしかに、それはやさしさの言葉です。
でも、そのやさしさの前提には、「話せる人間」がいることが含まれている。
逆にいえば、「話せない人」は置き去りになりがちだということ。

「大丈夫?」と声をかけることが、本当に届いているのか。
もしかしたら、その問いの積み重ねが、
誰かをじわじわと追い詰めてはいないか。
そんな想像を、わたしたちはもっと持った方がいいのかもしれません。

相談できないことを、責めないでほしい

「話してくれればよかったのに」
「どうして黙っていたの?」
そう言われた経験のある人は、きっと少なくないはずです。

わたし自身も、かつてそう言われたことがあります。
そしてそのとき、自分の中に湧き上がったのは、
“ああ、自分は話せなかったことまで責められるのか”という感覚でした。

話せなかった理由は、たくさんあります。
うまく言葉にできなかった。
言ったところで理解されないと思った。
言葉にするよりも、黙っていた方が安全だと判断した。
どれも、精一杯の自己防衛だったはずです。

でも、そこには気づかれません。
「どうして黙っていたのか」という問いは、
「話さなかったあなたにも責任がある」というニュアンスを含んでしまう。

相談できないことは、悪いことではありません。
それは、その人なりの選択であり、生き抜くための方法でもある。
そのことを、もっと認めていいはずです。

心の声は、数字には出てこない

ユニセフが2025年5月に発表した最新の調査によると、
日本の子どもたちは「身体的健康」で世界1位を獲得している一方、
「精神的幸福度」は32位にとどまっているとのことでした。

このギャップは、何を意味しているのでしょうか。

体は元気。けれど、心は置き去りにされている。
その状態を、まさに象徴する数字のように思えます。

衣食住やインフラ、医療制度は整っていても、
「心をゆだねられる場所」が少ない。
「感情を言葉にできる関係」が育っていない。
そんな社会の姿が、数字の裏側に見え隠れします。

そして、重要なのは──
「心のしんどさ」は、数字には出にくいということです。

どんなに精緻な統計や調査をもってしても、
「ほんとうの苦しさ」は、本人しか知らない。

それを前提にしたまなざしを、わたしたちは持っているでしょうか。
「問題が起きたときだけ反応する」ではなく、
「何も起きていないように見える日常」の中に、
静かに潜む“違和感”を受け取れる力が必要です。

数字に振り回されるのではなく、
数字の外側にあるものへ、目を向けていくこと。
それが、社会の成熟にもつながると思うのです。

話さなくても壊れない関係を

「相談しようね」
「困ったら言ってね」
そう言える人がいることは、たしかに素晴らしいことです。

でも、それでも話せない人はいます。
「今話したら、壊れてしまう」
「どうせ言っても、意味がない」
「話してしまったら、自分じゃなくなりそう」

そう感じて、沈黙を選ぶ人がいる。
それを否定しない関係性が、いま必要なのではないかと感じます。

本当に必要なのは、
「相談しやすさ」よりも、
「相談しなくても壊れない関係性」です。

黙っていても、
なんとなく気づいてくれる誰かがいる。
無理に言葉を絞り出さなくても、
そばにいてくれる安心がある。
そういう“あり方”にこそ、支えられる人が多いのではないでしょうか。

「話すこと」だけが正解ではない。
むしろ、黙っていても壊れない関係こそが、
本当の強さや信頼を育むのだと、わたしは思っています。

だれかの沈黙に、想像力を持てるか

わたしは「沈黙」が好きです。
というよりも、「沈黙には力がある」と思っています。

言葉にならない気持ち。
そのままでは表現しきれない感情。
何も言えない夜に、ぎゅっと胸の奥で踏ん張っているような誰かのこと。
そういう沈黙のなかにある“人間らしさ”が、わたしはとても大切に思えるのです。

沈黙を“問題”とだけ見るのではなく、
そこにあるかもしれない背景に想像力をもつこと。

その人が沈黙を選んでいるのは、怠慢ではなく、選択かもしれない。
不安に耐えるための時間かもしれない。
言葉にするには、まだ早すぎるだけかもしれない。

「どうして話してくれなかったの?」ではなく、
「話すまで、待ってるよ」と言えるか。
「話さなくても、あなたを見ているよ」と伝えられるか。

その差が、人生を左右するような瞬間につながることもある。
そのことを、忘れないでいたいのです。

まとめ:あなたにも、思い当たる記憶はありませんか

誰にでもあるのではないでしょうか。
「誰にも言えなかったこと」
「言いたくても言えなかった気持ち」
「わかってほしかったのに、伝える言葉が見つからなかった夜」

あのとき、話せなかった自分を責めた人もいるかもしれない。
でも、それはそのときの、あなたなりのベストだった。
声を出さなかったあなたを、責める必要なんてなかった。

だから、わたしたちは言葉だけで判断しない社会をつくっていきたい。
声が出ないときにも、隣にいてくれる人がいること。
無言のままでも、価値を見失わずにいられる空気があること。

“相談しようね”の一歩手前に、
“相談しなくても大丈夫だよ”と伝えられるやさしさを。

そしてもし可能なら、
「大丈夫?」と問いかける前に、
「なにか力になれることある?」と聞ける余白を。

それが、“だれもがひとりにならない社会”の第一歩になると、わたしは思っています。

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